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出版社のWebサイトが似ていると感じていた
出版社のWebサイト(PC版)を見ていたら、なんとなく商品の個別ページが似ていると感じることがありました。例えば、勁草書房、ミネルヴァ書房、東京堂出版。
- 勁草書房の例:図書館情報学 - 株式会社 勁草書房
- ミネルヴァ書房の例:情報を読む力、学問する心 - ミネルヴァ書房 ―人文・法経・教育・心理・福祉などを刊行する出版社
- 東京堂出版の例:東京大学総合図書館準漢籍目録 - 株式会社 東京堂出版 限りなく広がる知識の世界 ―創業120年―
上記の3つを並べてみるとこんな感じ。
おうふうと汲古書院のWebサイト(PC版)を連続で確認することがあったんですが、この2社ついては交互に見比べると色とロゴが違うだけでほとんど同じ。きっと出版社に人気のテンプレートがあるんだろうと思っていました。
上記の2つを並べてみるとこんな感じ。
出版社専用システムが存在していた
で、ずっとそこで終わっていたんですが、偶然、HONDANAという出版社専用のWebシステム(CMS?)を見つけて、この謎が解けました。上記の出版社は、いずれもこのシステムを使っていたからデザインが似ていたのです。
ただのテンプレートではないので、登録した書誌データを、Webサイトで利用するだけでなく、取次や書協、JPO近刊情報センターに送信するというニッチな機能があるようです。
出版社のWebサイトを見たり調べたりして本を買う人よりも、Amazonや本屋、広告、書評を見て買う人が圧倒的に多いだろうから、出版社にとってはWebサイトそのものの重要性は低いだろうけど、データ送信機能のあるシステムだと一般的なCMSより導入するメリットがあってよさそう。
特長3 取次や書協、JPOにデータ送信可能
- HONDANAに登録されたデータは、取次や書協、JPO近刊情報センターに送付することが可能です。
- 新刊情報を個別に送付する手間を軽減します。
- 送付されたデータは、取次各社のPR誌掲載やBooks.or.jp(書協)の登録等に使用されます。
あと、とても地味なところですが、在庫や絶版・品切れの情報が表示されていたり、サイト内で簡単に本を検索できるところがありがたいです。
こういう書誌データや在庫情報が活用できたり、しっかり更新される出版社のWebサイトやシステムが増えてほしい。
「出版社システム」(?)
HONDANAを知ってから、他にも出版社向けのニッチなシステムがあるのかなと思って検索すると、名前そのまま「出版社システム」(?)というものがあることがわかりました。
WebサイトまわりがメインのHONDANAとは異なり、受注管理、在庫管理、原価管理や印税・原稿料管理などができる基幹システム(出版社向けのERP? 財務会計システム?)です。ごっついです。「出版社システム」というキーワードで検索したところ、上位3つはこんな感じです。
当たり前かもしれませんが、図書館には図書館システムがあるように、その業界ごとに専用のシステムがあるものなんですね。
出版社はどうやって原稿のデータ管理をしているのか気になる
あと、出版社のシステム関連で気になっているのは、どうやって原稿のデータ管理をしているのかということ。出版社システムはお金絡みのことが中心みたいなのでこの件は関係なさそう。
著者と編集者との間(社内外)で原稿のやりとりが頻繁にあるだろうし、改訂を前提としている辞書・事典があったり、一方でかなり時間が経ってからの改訂版や復刻版を出版したり。
そこは原稿を管理する専用システムではなく、オンラインストレージやオンラインオフィススイート、グループウェア?
追記
id:yocchiさんから、出版社の近刊情報について詳細なコメントをいただきました。ぜひコメント欄もあわせてご覧ください。
また、id:kitoneさんのはてなブックマークのコメント*1で、初めてAtyponを知りました。というより、そもそもJ-STAGEをのぞいて、プラットフォームの存在を意識していませんでした。盲点。
- Atypon: Online Publishing Platform & Web Development Tools
- ジャーナル公開プラットフォーム構築 | 株式会社アトラス
Atypon Literatumとは米国のAtypon社が提供する学術誌や書籍、データベース、文献資料等のデジタルコンテンツをウェブサイト上で簡単に公開・管理することができるデジタルコンテンツプラットフォームです
2017年2月のユサコニュース第281号で、編集者との工程を効率化することができるオンライン論文執筆ツールOverleafが紹介されていました。
- 学術情報・論文作成支援【ユサコ株式会社】
複数の著者と同時に執筆するための共同編集機能,修正履歴やバージョンの管理ができるほか,主要なジャーナル出版者や投稿システムとの連携が進みつつあり,編集者との工程を効率化するメリットも大きい。すでにSpringer Nature,OUP,PNAS,IEEE,RSCなどはOverleafでジャーナル個別のテンプレートを用意し,刊行版と同じレイアウトで論文執筆ができ,そのまま投稿し,同一のファイル上で編集・校正を行うことができ,編集作業と工程の効率化が実現できる
*1: ナイスエントリです。こんな感じでEJプラットフォームのレビューを。。(Atyponとか出版社のWebサイトとシステムが気になった話 - 猫に夢研究所
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