目次
- 参加メモの前提
- 情報リテラシー教育支援の現状 : 東北大学附属図書館の事例 / 堀野 陽子(東北大学附属図書館工学分館整理・運用係長) | 9:30-10:45 | 75分(うち質疑15分)
- 大学図書館における目録実務とその周辺 / 川本 真梨子(慶應義塾大学メディアセンター本部 リソースマネジメント担当) | 11:00-12:15 | 75分(うち質疑15分)
- 大学図書館における資料保存 / 小島 浩之(東京大学経済学部資料室講師) | 13:15-14:30 | 75分(うち質疑15分)
- 図書館等公衆送信サービスの開始と今後の展望 / 髙木 晃子(千葉大学附属図書館利用支援企画課利用支援企画グループ図書系職員) | 14:45-16:00 | 75分(うち質疑15分)
- グループ討議 | 16:15-17:30 | 75分
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参加メモの前提
全体のバランスや文脈は考慮せず、自分が興味・関心を持ったところを中心にまとめています。
敬称略。
情報リテラシー教育支援の現状 : 東北大学附属図書館の事例 / 堀野 陽子(東北大学附属図書館工学分館整理・運用係長) | 9:30-10:45 | 75分(うち質疑15分)
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東北大学が「日本で初めて女子学生を受け入れた大学」とは知りませんでした。
- 東北大学附属図書館本館について
- 書数 : 約280万冊・国宝2点を所蔵
- 50名ほどの職員で運営(アルバイトや派遣職員を除く)
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国宝も所蔵しているのですね。すごい!
地震が多いとのことで、対応が大変そうでした。
- 大学図書館における情報リテラシー教育支援とは
- 情報リテラシー(教育)とは
- 情報リテラシーとは
- 情報リテラシーとは
- 「情報の入手・評価」 →「分析・加工」 →「アウトプット」、全部含めて「情報リテラシー教育」
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定義の確認がしっかりとできました。
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「一部であること」を自覚し、ひとりよがりにならないように注意したいです。
- 大学図書館に何が求められているのか
- 科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会学術情報基盤作業部会「大学図書館の整備について(審議のまとめ) : 変革する大学にあって求められる大学図書館像」(平成22年)
- 学生が大学を卒業して以降も生涯にわたって自ら学習し、課題解決するためには、電子情報資源、印刷物を含めて、適切な情報を得るために各種ツールを使いこなし、得られたデータや情報を分析・評価し、その成果を分かりやすく表現し、発信する能力を身に付けることが求められている。
- (略)大学においてはさらに踏み込んで、大学図書館の利用方法を含めて、情報を探索し、分析評価し、発信するスキルを一層高める情報リテラシー教育が必要である。
- (略)情報リテラシー教育は、大学図書館が主体となって取り組むことが求められている。例えば、初年次教育の一環として必修の授業として開講することが考えられる。カリキュラムの開発や実施を教員と協同して行うだけでなく、図書館職員が教員を兼任するなどして直接授業を担当することも視野に入れるべきである
↓
図書館単体で行うだけでなく、教員や他部署などとの連携が重要ですよね。
ちなみに、「図書館職員が教員を兼任する」ってどれくらい事例があるのでしょうか? おもしろそうです。
- 事例1 : 初年次必修授業「学問論」への支援
- 令和4年度教養教育科目「全学教育科目」のリニューアルに伴い、新設された授業
- すべての学部の1年生(約2400名)が受講する
- 学習の到達目標(令和5年度シラバスより抜粋)
- 教育研究機関としての大学および東北大学の特徴を理解する
- 協同学習と初級アカデミック・ライティングの技術を習得する
- 自らの知的好奇心を主体的に追求する態度を培う
- 教材「東北大学レポート指南書」への執筆参加
- 「東北大学レポート指南書」とは?
- 2017年初版発行。最新は第4版(2023年3月発行)
- 新入生全員へ冊子版を配布している
- 発行の背景と目的
- 「大学のレポートには様々なタイプがあるが、本書が主な対象とするのは、文献に基づいて論証を行うレポートである。本学では理系の実験レポートについては、「自然科学総合実験」という科目で手厚い指導が行われている。一方、文献に基づくレポートに関しては、全学的な指導体制がなく、何をどう書けばよいかわからないという声も学生から上がっていた。こうした現状を改善したいと考えたのが、本書発行の背景にある。」(第2版 前書きより抜粋)
- 第3版以降は、「学問論」の教材として使用することを想定している。
- 「第3章 文献の収集」を執筆している。
- 3.1 文献の種類と時間
- 3.2 検索ツールを活用する
- 3.3 文献を記録する
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以前は、担当者1名で執筆していましたが、チャットを活用し、様々な意見をもらいながら、チームで執筆できたとのことでした。業務の継続性を考えるといい流れだと思いました。ちなみに、教材「東北大学レポート指南書」は、学習教材 | 東北大生のための学びのポータルサイトで公開されています。
- 事例2 : 授業「中級アカデミック・ライティング : 現代的課題に関する文献講読とレポート作成」への協力(教員との協働)
- 授業「中級アカデミック・ライティング」とは
- 平成16年に「大学生のための情報探索術」としてスタート
- レポートや論文の書き方を知らない新入生に文章作成能力を養う機会を与える目的で開講
- 教員と職員が協力して運営してきた
- 授業名や内容をアップデートしながら現在に至る
- 令和2年度全学教育貢献賞を受賞した、「大学生のレポート作成入門」の後継科目
- 受賞理由:平成16年度から積み重ねてきた授業運営技術と、新しい企画を駆使して学生の満足度が高く優れた授業として成立させており、アカデミックスキルの実践教育として全学教育貢献賞に相応しいと判断した
- 講義スケジュール : 15回の講義(3つの締切)
- 第1回 ガイダンス
- 第2回 レポートとは何か?
- 第3-4回 人文社会科学の研究の実際について(図書館ツアー)
- 第5-6回 自然科学の研究の実際について(データベース実習)
- 第7回 テーマ決定、アウトライン作成
- 第8回 アウトライン確認、執筆要領説明 ←アウトラインの締切
- 第9-11回 序論、本論、結論の書き方
- 第12回 引用方法の確認、初稿提出要領説明 ←初稿の締切
- 第13-15回 初稿相互コメント、講評など ←定稿&文献リスト
- 授業の特徴
- ↓初稿
- ←教員からのコメント
- 書き直し、試行錯誤
- ←学生の相互コメント
- 書き直し、試行錯誤
- ↓定稿+コメントへの対応記録
- ←教員からのコメント+採点
- GOAL!!
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とくに意味はありませんが、「授業の特徴」をMermaid記法でそれっぽく書いてみました。
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sequenceDiagram participant student as 学生 participant teacher as 教員 student->>+teacher: 初稿 teacher->>+student: 教員からのコメント Note over student: 書き直し・試行錯誤 Note over student: 学生相互のコメント Note over student: 書き直し・試行錯誤 student->>+teacher: 定稿+コメントへの対応記録 teacher->>+student: 教員からのコメント+採点 Note over student: GOAL!!
ちなみに、これが初めてのMermaid記法。以下のように書いてみました。インデントはよくわかりません。
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sequenceDiagram participant student as 学生 participant teacher as 教員 student->>+teacher: 初稿 teacher->>+student: 教員からのコメント Note over student: 書き直し・試行錯誤 Note over student: 学生相互のコメント Note over student: 書き直し・試行錯誤 student->>+teacher: 定稿+コメントへの対応記録 teacher->>+student: 教員からのコメント+採点 Note over student: GOAL!!
- 事例3 : オーダーメイド講習会(研究室や授業単位での図書館講習会の実施)
- オーダーメイド講習会とは
- 教員と図書館職員が、相談して講習内容を決める
- 学生グループの申し込みも可
- 場所は図書館や研究室
- メニュー例:
- OPACの使い方
- 雑誌論文の探し方
- 図書館ツアー
- MyLibraryの使い方
- 書庫ガイダンス
- 古典資料ガイダンス
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古典資料ガイダンスについては、自分は実施したことがありません。
- 事例4 : 留学生コンシェルジュの活動(留学生との協働)
- 留学生コンシェルジュとは
- 留学生コンシェルジュデスク(図書館利用に関する相談窓口)
- レファレンスデスクと同じ並びに配置
- スケジュールと対応言語をカレンダーに公開
- グローバル学習室の選書協力と展示
- グローバル学習室とは
- 日本人学生と留学生とが共に学習し、交流するためのスペース
- 留学生向け、あるいは留学を希望する学生向けの資料が充実(語学、国際交流、外国文化)
- コロナ禍以前は、ディスカッションが可能なスペースもあり、イベント開催も可能だった
- 国際交流イベントや、図書館多言語ガイダンスを実施
- グローバルラーニングセンター(GLC)との連携
- 動画教材の翻訳 : YouTube用の公開動画
- Newsletterの発行
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「留学生課の予算で実施している」、なるほど。
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「図書館が担っているのは、大学の情報リテラシー教育の一部である(全体ではない)」「利用者が図書館の利用方法を学ぶことは、手段であって目的ではない」は、意識しておきたいと思います。
大学図書館における目録実務とその周辺 / 川本 真梨子(慶應義塾大学メディアセンター本部 リソースマネジメント担当) | 11:00-12:15 | 75分(うち質疑15分)
- 目録 (Catalogue)とは
- 『日本目録規則2018年版』序説
- 目録は、利用者が図書館で利用可能な資料を発見・識別・選択・入手できるよう、資料に対する書誌データ、所在データおよび各種の典拠データを作成し、適切な検索手段を備えて、データベース等として編成するものである。(中略)図書館は、適切な書誌データ、所在データおよび典拠データを作成し、目録を編成して利用に供することで、資料の持つ利用可能性を最大限に顕在化しなければならない。
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普通の本だと序説って読み飛ばし(ナナメ読みし)がちだけど、『日本目録規則2018年版』はきちんと読もう。
- 大学図書館にとっての目録業務
- 目録作成業務に関わる職員数
- 正規職員数 < 臨時職員数
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大学図書館全体としても、やっぱり非常勤職員(臨時職員数)の方が多いのですね。
- 慶應義塾大学メディアセンターの概要
- 蔵書数 : 約5,055,000冊
- 受入数 : 約45,000冊
- 図書館専任職員数 : 78名
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やっぱり慶應義塾大学の規模になると、専任職員数が多いですね。さすがです。
- 慶應義塾大学の目録業務に関わる専任職員の仕事
- 目録技術習得・維持
- 早稲田との共同目録に関わる調整
- 今後の方向性の検討と実践
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目録技術習得・維持では、担当者が一度「習得」して終わりではなく、組織として「維持」していくことが大切ですよね。
ちなみに、目録業務の今後の方向性の検討と実践は、自分は日常的には意識できていない。
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特徴がありすぎる。特徴のクセがすごい!
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資料が届いて提供まで、5日程度かかるとのことで意外とゆっくりしていると感じました。
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いろいろな方法があることが学べました。
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「目録規則が一緒でも、記録が異なることも」ありますよね。
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「修正フロー上検討の必然性(導入のきっかけ)」? ここはきちんと理解できていない気がします。難しい。
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ここでいうプロトコルとはなんぞや? 理解できていないです。
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「NIIは、2023年1月のシステムリプレイスに伴い、CBS内ではMARC21で書誌データを保有」、そうなのですね。
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主題分析は、自分の好きな目録業務。
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「早慶では、共同運用開始以降、早慶目録ユニットで作成した全ての資料をOCLCへ書誌&所蔵登録」しているとは知りませんでした。
- OCLCへ登録する意義
- 国際的なユーティリティへの登録
- →視認性アップ
- 外部サービスとのデータ交換(Google, HathiTrustなど)
- → OCLC ID(書誌ID)がキーとなる
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Googleなどは「OCLC ID(書誌ID)がキーとなる」のか。知らないことがいっぱい。
- 優先情報源
- タイトルページ
- (次いで)表紙、奥付、カバー等の図書本体
- 典拠コントロール
- 統一された名のもとに資料を集めることができる
- →同一人物でも表記の揺れがある場合や、同名異人の判別などに有効。同姓同名の場合は、生没年や肩書などで区別
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Amazon.co.jpで買い物するとき、同姓同名はどうにかしてほしい(典拠コントロールしてほしい)って思いますよね。
- 請求記号付与
- 書誌分類≠書架分類
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書架分類は、1つしか付与できないから難しいし、複本や旧版・新版で散らばっているのを見つけたときは、頭が痛い。
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当たり前だと思うけど、講師の方も迷うところがあって研修参加者としては安心。やっぱりそうですよねって項目が並んでいます。
- NACSIS-CATでの目録三種の神器
- 目録規則=目録の大原則
- 目録情報の基準=目録規則を補完
- 任期規定や別法の採否
- レコード作成基準
- 分かちやヨミの規定
- コーディングマニュアル=データの記述文法
- TR: 本タイトル△:△タイトル関連情報△/△責任表示||ヨミ
- それぞれを適宜参照しながらデータを作成することが必要
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「それぞれを適宜参照しながらデータを作成することが必要」のなかの「適宜参照」というのがなかなか難しいですよね。
- CAT2020から3年
- 外部書誌作成機関データの活用
- →異なる目録規則で作成された書誌データの許容
- 出版物理単位での書誌作成
- →1冊単位で書誌データを作成(Vol積みの禁止)
- 並立書誌の許容
- →同一書誌に対する複数書誌の許容、自動同定、グループ化
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図書の書誌調整がなくなって業務的な負担と心理的な負担がとても軽くなりました。
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36年ぶりってすごいですよね。安定稼働。リプレイスにあたり、システムの情報やドキュメントってどんな感じで代々管理されてきたのだろうかと思いました。逆にずっと同じシステムだから初期の情報やドキュメントがあればいいのかな?
そして、「これまでのNACSIS-CAT/ILLの機能は維持」というが地味に(?)すごいと思う。
- 学術情報のこれから
- 「これからの学術情報システム構築検討委員会」が実現を目指すこと」(2023年5月26日公開)
- 「メタデータ」「情報システム」「人」を共同・協働のネットワークで届けるが学術の知
- 当面の整備目標
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「電子リソースのタイトル・ライセンス情報を整備する」とあるように、とても整備したいところ。
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"Good linked data requires good metadata"って、"Garbage In, Garbage Out"(ゴミを入れたら、ゴミが出てくる)みたいです。ちょっと違うかな?
- 書誌データのこれから
- リンクトデータへ対応した枠組みの開発=BIBFRAME 2.0
- ウェブ環境下で流通・交換することが前提に
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「BIBFRAME 2.0」は、よくわかっていないです。勉強不足。
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気になります。
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YouTubeで動画が公開されているとのことです。
- NCR2018の適用後は
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「目録規則を全て日本語で参照可」になるのは、ありがたいです。
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「図書館目録は、利用者にとって資料そのものにたどり着くまでに必要なもの(変わらない)」、大事な視点。目録業務は、「テクニカル・"サービス"」の1つです。
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「自館の目録を知る=どのように変えていけるかを考えられる」、変えていくのが前提であるところが、すごい点だと思いました。
「システムでできることとできないことの見極めに、目録の知識は役立つ」、その通りだと思いました。
- 参考資料
- Anderson, Rick, 宮入暢子. 学術コミュニケーション入門 : 知っているようで知らない128の疑問. 東京, アドスリー, 2022
- 谷口祥一. 知識資源のメタデータへのリンクトデータ・アプローチ. 東京, 勁草書房, 2023
- Smith-Yoshimura, Karen. Transitioning to the Next Generation of Metadata. OCLC Research Supplemental. 2020.
- 中野 ひかる, 今野 創祐, 和中 幹雄. 日米に於ける目録作成の違い : PCCの現状分析を通じて. 図書館界. 2023, vol.75, no.2, p.164–170.
大学図書館における資料保存 / 小島 浩之(東京大学経済学部資料室講師) | 13:15-14:30 | 75分(うち質疑15分)
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大学図書館では、資料を利用しながら、長持ちさせることが求められています。
- 原物保存と代替保存
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コンテンツがほしいならコピーで済むが、コンテクストが必要な研究もあるので、大学図書館はコンテクストを保存する意味があるとのこと。当然、そうですよね。
- 図書館における資料保存の二領域(『IFLA資料保存の原則』1986年版)
- プリザベーション(Preservation)
- 施設・設備・環境・人事・財務 →全体のマネジメント(方針)の領域
- (中・長期的な)戦略
- コンサベーション(Conservation)
- 各種保存処置、代替化処置など →具体的な処置(手段)の領域
- (短期的な)戦術
- IFLA資料保存の原則
- 1979年版 : 『図書館における保護と修復の原則』
- Principles of Conservation and Restauration in Libraries
- 1986年版 : 『図書館資料の保存と保護のための原則』
- Principles for the Preservation and Conservation of Library Materials
- 2003年版 : 『図書館資料の予防的保存対策の原則』
- Principles for the Care and Handling of Library Material
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どんどん変わってきています。
- 劣化とは何か
- 通常の状態から変化すること
- 絶対に劣化する
- 劣化は化学反応
- 温度か湿度かどちらかのみを調整できるなら、湿度を調整する
- 空調より除湿機を入れる。加水分解の影響が大きい場合が多い
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「絶対に劣化する」、そうですよね……。
- 劣化要因とその循環
- 内的要因 : 資料そのものに内在される要因
- 酸
- リグニン
- 金属イオン
- 劣化生成物
- 外的要因 : 保存環境や微生物、さらには利用など資料の外から影響する要因
- 温度・湿度(水)
- 光
- ホコリ
- 生物
- ヒト
- 化学物質
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本を紙だと思わないとこが重要。セルロース。高分子化合物。有機物。
- 図書館資料の構成材料からみる
- 本、フィルム、レコード→シート状(高分子化合物)のものが多い
- しなやかさ、強靱さ、書きやすさ、にじみ止め →(添加物)填料や加工の必要性
- 本を例にとると、紙、革、布、木、糊、接着剤、インク、金具、糸などなる複合体
- 各構成材料は複数の素材からなり加工された工業製品
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図書館資料は、工業製品とのこと。
- 紙資料(シート状の記録媒体)の劣化を決めるものは何か
- 製造技術・方法(材料要因)
- 記録材料・方法(処理要因)
- 保存環境・方法(保存要因)
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本当に気をつける季節は、夏ではなく、春と秋とのこと。寒暖差が激しい(温度が下がる)時期が要注意。
- 繊維の分類(紙の原料繊維となり得るもの)
- 植物繊維
- 非木材繊維
- 靭皮(じんぴ)繊維→和紙
- 茎桿(けいかん)繊維
- 葉繊維
- 種毛繊維
- 木材繊維→茶色の物質がリグニン。茶色くなる要因。酸を出す。古本の香りは、バニラの香り。ちなみに、一緒に蟻酸も出している
- 動物繊維
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リグニンが劣化の要因。複製するときには、紙をよく選んだほうがいいとのこと。
- フィブリル化(繊維の毛羽立ち)と水素結合
- フィブリル化 →何回も着たTシャツがなるやつ
- 水素結合 →水に濡れた髪をドライヤーで乾かすとまっすぐになるやつ
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物質としての紙の見方が変わりました。
絶対に劣化するものの、「技術や材料の問題による劣化」と「管理上の問題による劣化」のうち、後者にはとくに気をつけたいと思います。
図書館等公衆送信サービスの開始と今後の展望 / 髙木 晃子(千葉大学附属図書館利用支援企画課利用支援企画グループ図書系職員) | 14:45-16:00 | 75分(うち質疑15分)
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自分は読んでないし、視聴していなかった。
- 令和3年著作権法改正の概要
- 日本の著作権法で定められている著作者の権利 →以下の2つの権利から構成されている
- 著作者人格権 →著作者の精神的利益を守るための権利
- 公表権、氏名表示権、同一性保持権
- 著作権(財産権)→著作者の財産的利益を守るための権利
- 複製権、上演権・演奏権、公衆送信権など
- 通常、著作物を利用(複製・上演・公衆送信など)するには、著作権者の許諾(+利用料の支払いなど)が必要
- 一定の条件を満たした場合に、許諾なしで著作物が利用できるようになる例外規定が「権利制限規定」
- 非常に簡略化して言うと、
- 図書館(条件あり)から所蔵資料(条件あり)を公衆送信してもらい、
- 図書館に来なくても(自宅などから)
- 所蔵資料(の一部分)を電子で読めるようにする
- ために、権利制限規定の変更・追加を行う、という趣旨の法改正
- NDLの絶版等資料のインターネット送信は一足先に開始済み(2022/5/19-)。
- 大学図書館・NDL・公共図書館ほかの蔵書のインターネット送信について、今年5月末にガイドラインが公開
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「インターネット送信等」が今日のテーマとのこと。
- 具体的になにが便利になる?
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「NDL所蔵の絶版等資料を読むことができる」のは便利。実際に利用者に案内したり、自分が読みたかった資料が読めたりする機会がありました。
- 公衆送信制度についてよくある質問
- 公衆送信サービスは、ILLで提供された資料にも適用される?
- →現時点では不可。自館の所蔵資料のみが対象となる。
- →今後、ILLで提供された資料についても公衆送信サービスを実施可能となるよう別途要件等を整理(参照:ガイドライン第2-2-(2))
- 補償金額の計算ミス・補償金要否を間違えた場合の扱いは?
- →「図書館等公衆送信サービスに関する関係者協議会事務処理等スキーム分科会合意事項」では、補償金の返還・追徴処理を行うことも可とされている(第14項)
- →追徴は行わないが、返還は行う方向で関係者間で申し合わせ(余分に受け取った補償金=SARLIBの不当利得となるため)
- →具体的な返金手続きについては今後調整
↓
想定しないといけないことがいっぱいある……。
↓
以下「GL」という。
- 公衆送信(・複製)できる範囲・分量 : GL2-2 「図書館資料」の範囲(←総則のようなもの)
- 「図書館資料」に含む
- 図書館等が選択、収集、整理、保存している資料
- 図書館間協力により提供された資料
- 複製については既存のガイドラインの下、現在も提供可能
- 公衆送信については、実施可能となるよう別途要件等を整理(=2023/9現在はまだできない)
- 図書館等に処分権限がある(所有権がある)寄贈資料
- 「図書館資料」に含まない
- 電子ジャーナル・DBなどに収録された著作物
- 図書館等が処分権限を有しない寄託資料
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「公衆送信については、実施可能となるよう別途要件等を整理」、まだできない。
- 公衆送信(・複製)できる範囲・分量 : GL2-5 対象となる著作物の範囲
- 複写および公衆送信を行うことができるのは、「公表された著作物の一部分」
- 「公表」:著作権法第4条の要件を満たしていること
- 図書館資料は大半が出版物(新聞含む)として発行されており、その掲載著作物は公表されたものとなる
- 「一部分」:複写・公衆送信とも、各著作物の2分の1を超えない範囲
- 著作物の単位(何をもって「1つの著作物」と考えるか):詳しくはGLを参照
- 書籍/雑誌・新聞/事典/編集著作物として扱うものに分けて考える。
- 絵画、地図、楽譜、俳句・短歌、文章など、著作物のジャンルによって判断基準が異なる
↓
「各著作物の2分の1を超えない範囲」、うっ。
↓
利用対象外となる図書館資料がある。
- 公衆送信(・複製)できる範囲・分量 : GL2-6 全部利用が可能な著作物
- 「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情があるもの」として、政令で定められている類型
- 国等の周知目的資料
- 発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個々の著作物
- 複写 : 次号発行まで / 3か月間
- 公衆送信 : 発行後1年間(新聞は次号発行まで) ←オンラインでのバックナンバー流通に配慮
- 美術の著作物等(文中の挿絵や図版類を想定⇔GL2-7 公衆送信対象外の類型)
- 複写 : 「複製物の写り込みに関するガイドライン」に従う
- 公衆送信 : 一頁につき、一点あたりの美術の著作物又は写真の著作物が、当該頁の3分の2以上の割合を占める場合→解像度に注意した上で行う(原則、解像度は200dpiまで。より高解像度にする場合は別途要措置) ←高解像度の複製物が不正利用される可能性を考慮
- 分量の少ない著作物 →コラム・短歌・俳句などを想定
- 定期刊行物は除く
- 複写 : 「複製物の写り込みに関するガイドライン」に従う
- 公衆送信 : 複製が行われる同一頁(見開き単位で複製が行われる場合はその見開きになっている2ページ)内に、単独又は複数の著作物の全部又は2分の1を超える部分が掲載されている場合 →遮蔽せずに、2分の1を超える部分についても公衆送信できる
- ※もっぱら分量の少ない著作物で構成されている図書館資料(句集・歌集・事典類等)において、複製箇所は連続してはならない。
- ※GL2-7で除外されている資料は対象外
- 漫画の著作物
- 定期刊行物を除く図書館資料に掲載されている漫画の著作物のうち、分量の少ないものの複製、公衆送信については、上記「分量の少ない著作物」に準じて取り扱う
↓
美術の著作物等は、「原則、解像度は200dpiまで」と具体的な低解像度を指定している。なるほど、不正利用を考慮しているのか。
- 利用者へのレファレンス対応の変化
- 選択肢と新しいルールが増える →利用者が重視することは何かを考えて案内することがより重要に
- 文献を早く入手したい
- 移動不要で自宅で完結させたい、出張先・帰省先から資料を見たい
- 必要経費を安く済ませたい
- 解像度(画質)の高さ
- 細かい図版のある資料など、現物をじっくり調査したい
- 読みたいのは主に本文で、図版は補助程度に確認できればよい
- 今、現実に取れる選択肢はどれなのか
- その資料は公衆送信サービスの対象となるか、著作物全体を送信できるか
- 必要なのは著作物の全体か、一部分か
- 所蔵館の利用者条件に当てはまるか、利用者登録は済んでいるか
グループ討議 | 16:15-17:30 | 75分
グループ討議の前に、机と椅子を並べ替え、島を作って、グループごとに座りました。
- 前日の続き
- やっぱりGoogleスライドを、みんなでワイワイ言いながら同時編集するのがおもしろかった
- 比較的順調に成果報告用の資料の作成が進んだように感じ、17:30ちょうどに資料が完成した
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