猫に夢研究所

自分の備忘録を公開している感じです。国立大学法人で大学図書館職員(図書系職員)として働いています。みなし公務員です。

国立大学以外の「ローカルルール」も知りたい

www.taro.org

ローカルルールの話はよく分からない。 - 大学職員の書き散らかしBLOGとあるように、はっきりしないところも多いですが、ほとんどが国立大学の「ローカルルール」でしたので、私立大学や民間企業の研究部門ではどのようにしているのか気になりました。国立大学よりも、

  • 効率化・簡略化されているのか。
  • 研究者の負担が少ないのか。
  • 研究者の自由度が高いのか。

など。それとも国立大学と変わらないのか。比較や参考にできることはないかなと思いました。海外の大学ではどんな感じなんでしょうか。証憑書類の扱いとかそもそも商慣習が違うのかな。

もちろん国立大学だけでも、こうした研究者の視点の「ローカルルール」が公開されるのは珍しいので、おもしろいです。図書館に直接関連するところでは、

  • 図書の購入方法
  • 図書を消耗品ではなく備品として管理すること*1

が「ローカルルール」として掲載されていました。

九州大学
公費で書籍を購入する場合、かならず図書館を仲介して購入しなくてはならない。教員が、図書館のウェブサイトから購入希望図書を入力し、それを受けて図書館は、大学向けの書類をそろえる業者に発注する。入力後一カ月もたってから「品切れの連絡がきました」と言われることもある。教員が直接、アマゾンなどに発注するほうが、スピードも速く、手数料も取られないので安くあがる。九州大学でも、教員が「立替払い」でインターネット購入する方法はあるが、立替払いするための何らかの理由が必要であり、図書館にその理由の妥当性を検討してもらい、認められて初めて直接インターネット購入が可能となる。その際、「理由書」「立替払請求書」という書類も作成しなくてはならない。実際のところ、理由として「研究のため早急に必要であり、ネット購入のほうが早いため立替購入を希望する」と書けば、まず断られることはないが、だとしても、結局、図書館とのやり取りおよび書類作成に、かなりの時間と労力を割かなくてはならない。インターネットを駆使して安く、早く書籍を購入(研究時間と研究費を節約できるので、「研究費のより適切な利用」にあたるはず)しようと考える教員のために、「図書を立替購入するための図書館への事前問い合わせを廃止する」「立替払いのさいの理由書・立替請求書を廃止する」ことが、必要である。

神戸大学
書籍を購入する際に原則として付属図書館に発注する必要があり、購入後も図書館にて管理される。教員が他大学に異動する際も、研究費で購入した書籍を持って異動できない。また図書館は出入りの業者に発注しており、洋書は一般的に市価より高い。さらに注文から納品まで短くとも1週間、長ければ数ヶ月待たされ、研究の円滑な遂行にも支障を来たす。学会会場にて特別割引で買う場合などは購入を認められるが、理由書の提出を求められる上、管理システムへの登録のためという名目で1週間以上取り上げられてしまう。
また図書館で管理する都合上、裁断などが禁止されており、1000ページを超える大型の書籍をバラバラにして、必要な部分だけ持ち歩く、学生に貸し出す、というようなことが出来ない。

東北大学
研究費で洋書を購入しようとする場合、オンラインで直接購入することができず、国内代理店か「大学生協Amazon.co.jp 洋書用決済代行サービス」を使用することが求められている。しかし国内代理店の場合、価格が高いだけでなく、専門書を海外から取り寄せとなってしまうため、実際に入手できるまでに非常に時間がかかる。また、大学生協の代行サービスでは、10%もの手数料が上乗せされ、無駄が多くなる。 また、物品購入後には、小額のものからすべて会計係の担当者による検品と研究者自身による書類への押印が求められる。大学の法人アカウント経由であれば、納入の事実やキャンセルの有無などが確認できるため、大型・高額物品を除いて、こうした無駄な作業が省けるのではないか。

神戸大学
10万円を超えていると備品扱いになるが、書籍、コンピュータ本体、コンピュータのディスプレイなどは無条件に備品になり、異動や持ち出しや廃棄のために多くの手続きが必要になる。


【2017年1月18日加筆↓ここから↓】

この記事に対して、はてなブックマークで下記のコメントをいただきました。情報ありがとうございます。

国立大学以外の「ローカルルール」も知りたい - 猫に夢研究所

自分の実感としてはたいそう効率的です>私大の研究費の使い方。国立大の院生だった時代に覚悟して行ったのでびっくりした。もっとも、私大は国立以上に個別の差が大きいかも

2016/12/20 15:22
b.hatena.ne.jp

【2017年1月18日加筆↑ここまで↑】

【↓続報↓】※随時更新。

ごまめの歯ぎしり | 衆議院議員 河野太郎公式サイトを見ても、ローカルルール関連の内容なのかどうか記事のタイトルから判断できないので、続報と思われる記事を気づき次第追加しています。いつまで追うかわかりません。


2016年12月15日の記事。

www.taro.org


2016年12月20日の記事。 www.taro.org

他の大学図書館に海外の文献の複写を依頼する場合ですが、電子ジャーナルの購読料を可能な限り下げるために、現在、日本の国公私立図書館でコンソーシアムを組んで、海外の大手出版社と団体交渉をしています。

図書館同士の文献の複写送付に関して、郵送とFAXのみ認めている出版社と郵送、FAXに加えセキュリティの保たれる電子的な転送も認める出版社と両方ありますが、これは図書館同士の話で、利用者に電子ファイルでの提供は認められていません。

少なくとも、エルゼビア、ワイリー、スプリンガーネイチャーの最大手3社は、利用者への電子ファイルでの提供を認めていません。

これを認めるような契約に変更すると、購読料が高くなることが大いに想定されますのでも、その予定は当面ありません。

ご了解ください。


2017年1月18日の記事。 www.taro.org


あと、ローカルルールには関連しませんが、経済学研究科についての下記の記事が気になったのでメモとして追加。 www.taro.org

【↑続報↑】


nekoniyume.hatenablog.com

*1:「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」報告書(平成28年2月1日改訂) 本文 (PDF:666KB)のp.21

図書(印刷その他の方法により複製した文書又は図画、又は電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によっては認識できない方法により文字、映像、音を記録した物品としての管理が可能な物。以下同じ。)は国立大学法人等にとって、教育研究の基礎となるものであることから、雑誌やパンフレット等教育研究上一時的な意義しか有さないものを除き、有形固定資産として取得原価をもって貸借対照表価額とする。
なお、図書は個々により使用の実態が大きく異なること及び比較的少額かつ大量にあることから、図書を除却する際に費用として認識することとし、使用期間中における減価償却は行わないこととする。