猫に夢研究所

自分の備忘録を公開している感じです。国立大学法人で大学図書館職員(図書系職員)として働いています。みなし公務員です。

第10回レファレンス協同データベース事業担当者研修会に参加しました

第10回レファレンス協同データベース事業担当者研修会に参加しました。

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第10回レファレンス協同データベース事業担当者研修会の概要

【目的】

この研修会は、レファレンス協同データベースの意義、システム機能、及びデータの作成・公開に必要な知識・技能を理解していただくことを目的としたものです。

【日時・場所】

【関西会場】
2014(平成26)年6月11日(水)10:30〜16:30 国立国会図書館関西館第1研修室
【東京会場】
2014(平成26)年6月24日(火)10:30〜16:30 国立国会図書館東京本館人事課大会議室(新館3階)

僕は、関西会場の方に参加しました。

およそ5か月のタイムラグが……。盛大な一人時間差が決まりました。もう配布資料や講師講義資料、優秀レポート、報告書等も公開されてますが、自分の記録として。

crd.ndl.go.jp

第10回レファ協研修会を知ったきっかけは、2014年4月22日に届いたメールマガジンレファレンス協同データベース事業 参加館通信(号外_研修会のお知らせ)」でした。2013年10月くらいから個人的にレファ協に興味を持ち始めていたので、参加館通信を受け取って、すぐに上司に相談しました。

2014年5月上旬に参加申込をすると、さっそく事前課題が出されました。


事前課題

(1) データ登録 研修環境に研修用IDでログインし、レファレンス事例または調べ方マニュアルを1件登録する。
(2) コメント付与 研修環境に研修用IDでログインし、事務局が登録したサンプルデータに対し、コメント機能を使って、1件以上コメントを付与する。

なお、研修環境とは、大学等の授業・演習、あるいは未参加館での導入検討・導入前研修など参加館以外の方も利用できるものです。

事前課題は、とくに負担が少なく、いつもどおりレファ協を使用する感覚で終わりました。
ただ、今回、はじめてコメントを付与しました。


研修会当日

【内容】

【午前の部】10:30〜
講義「レファレンス協同データベース・システムの機能とその活用」(図書館協力課協力ネットワーク係)

【午後の部】〜16:30
講義「データ作成の意義と実践」(羽衣国際大学人間生活学部准教授 谷本達哉氏)
討議「レファレンス協同データベースの活用による、情報サービスの改善について」(コーディネータ:谷本達哉氏)

研修後、会場において交流会(〜17:30、任意参加、無料)を予定しています。担当者同士で情報交換を行う良い機会ですので、是非ご参加ください。
関西館会場では、施設見学ツアー(9:40〜10:20)を行います(希望者のみ)。研修会参加申し込みの際に合わせてお申し込みください。
関西館会場では、お昼休憩時間に歴史的音源のデモンストレーション(自由参加)を行います。是非ご覧ください。

今回、はじめて国立国会図書館関西館に行きました。
バスを降りた直後の建物の迫力にびっくりしました。

まず施設見学ツアーに参加しました。
開館前は写真撮影OKということで、たくさん写真を撮りました。
施設見学ツアーに関しては、別途詳しく書けたらいいなぁ。
(→館内の写真をブログに掲載するには手続きが必要ということなので見送ることにしました。2014年11月13日追加)

施設見学ツアー終了後、外観の写真撮影に行っていたら、開始時刻ギリギリに!
そして、簡単な挨拶のあと、水野翔彦さん @yaskohi の講義が始まりました。

【午前の部】講義「レファレンス協同データベース・システムの機能とその活用」

とくにおもしろい(参考になった)と思ったところ。

  • まだまだ事例数が少ない。

長尾元館長@第6回レファ協フォーラム
「5万件程度のレファレンス事例ではまったく不十分でございまして、少なくとも30 万件から40 万件、50 万件くらいの事例のデータベースにしていかなければ、本当の意味で皆さん方に利用していただけるところにはなかなか行かないのではないか」

ディスカッション@第9回レファ協フォーラム
「何と年間に846 万件ものレファレンス受付がある。しかもそれが総数ではない。ところが、レファ協はどうかというとデータ総数が10 万件です。」
「昨年から今年の1 年間で1 万件くらいの増加です。850 万分の1 万ですから、それこそ、この現実を見て、このデータの数を何とかしなくてはいけないのではないか。」

レファ協への事例登録が組織的にできていないんだろうなぁと実感する数値でした。

  • 事例の登録にかなり偏りがあること

活動がすくない参加館
▶ 登録が0件 93館(15%)
▶ 登録<10件 338館(39%)
活発に活動している参加館
▶ 上位10館が約49%を登録
▶ 1割(62館)が約83%を登録

ちなみに、うちも僕が事例を登録し始めるまで、登録が0件でした。

  • 運用方法の提案

やはり自分は、「レファ協をメインとして記録を管理する場合」がしっくりきます。
流れは、以下のとおりです。

(1) ID/PWの周知
登録用IDをレファレンス担当者全員に周知
(2) データ登録
ウェブフォームで随時登録更新。最初は自館のみ公開で登録
(3) フォロー
自身/職員同士でチェックして公開範囲を拡大へ

メリットは、以下の3点。

(1)状況が共有しやすい
(2)正確な統計
(3)二度手間の削減

秋田県立図書館の取組も紹介されました。

平成21年度 寄稿「レファ協を自館データベースとして活用!―秋田県立図書館のとりくみのご紹介」
「レファレンス質問を受けた職員は、カウンター又は事務室のパソコンからレファ協にログインし、「自館のみ参照」レベル でレファレンス質問を入力します。利用者に回答後、レファレンス回答やその他の項目を入力します。最終的には、担当責任者が登録された事例を選択し、「参加館公開」等のレベルに変更することになります。

運用する際に、あらかじめ決めておくべきことは以下の4点。

▶ 管理番号の採番ルール
▶ 作業フロー、職員の役割分担と使用するID
▶ 登録・公開のポリシー
▶ ローカル項目などの運用方法

組織的に登録を始めようとする際の参考になります。

  • まとめ

ディスカッション@第7回フォーラム
「選んでいてはだめなのではないか。最初から全部登録してまずいものを取り除く、選ぶというよりも取り除く方向に変えていかなければいけないのかな。この事例に関しては。そう考えていかないとこれからやっていけないのではないか。」

レファ協を運用していく上で、この考え方は非常に重要だと思います。

コミュニケーションの相手は他機関とは限らない
▶ 画面の向こうには上司、同僚、部下、分館、前任者…
→個人芸だけに頼らずにチームで解決!

レファ協に登録すると、こんなメリットも!

  • APIを使って自動で事例を表示

APIについて質問すると、後日、講義後のフォローとして、メールで詳細を教えていただくことができました。
ありがとうございます!

  • おまけ

水野さんは、れはっち関連グッズを作成しているそうです。
そして、それがパソコン用壁紙やブックカバーとして、実際に公開されている!

crd.ndl.go.jp

すごいなぁ。



【午後の部】 講義「データ作成の意義と実践」と討議「レファレンス協同データベースの活用による、情報サービスの改善について」

とくにおもしろい(参考になった)と思ったところ。

  • 良いデータとは……

いずれのデータも、ユーザ(一般の利用者)にとって大事な質問であり回答なのです!

  • 大切なことは……

なによりも、そこにデータがあること!
事例選択への意識からの解脱!
「兎に角、登録。なんでも入れよう!中身は後から付いて来る」という発想でスタートしましょう!


交流会

交流会では、レファ協の担当者と交流することができました。
そして、なにより自館で試験的にレファ協の運用を始める際やレファ協サポーターになる際にお世話になった佐藤久美子さん、カレントアウェアネス-Eの執筆でお世話になった篠田麻美さん第15回図書館総合展『ここが図書館情報の最前線!!−情報を未来につなげるカレントアウェアネス・ポータル−』でお世話になった兼松芳之さんなど国立国会図書館関西館の職員の方々に直接お会いでき、挨拶できたのがとてもうれしかったです。

はじめて関西館に行ったのに、はじめて行った感じが全くしませんでした!


事後課題

(1) コメント付与 研修環境に研修用IDでログインし、他の参加者が事前課題で作成したデータにコメントを付与する。
(2) データの整備と登録 事前課題で作成したデータを見直し、本番環境で自館のデータとして一般もしくは参加館公開をする。
(3) レポート作成 研修後のデータ作成・登録の現状についてと、自館のレファレンスサービスをより向上させる提案をレポートにまとめる。

事後課題の「(2) データの整備と登録」として、以下の事例を自館では初の一般公開にしました。

"吉田松陰の「河豚食わざるの記」の全文が読みたい。"

事後課題の「(3) レポート作成」については、講師の谷本先生と事務局で「これは!」と思える5本を選定した優秀レポートが公開されています。残念ながら、僕の名前がないということは……。

crd.ndl.go.jp

後半はかなり駆け足になりましたが、以上で。


レファレンス協同データベースに関する資料