目次:
『知的生活の方法 続』
- 作者:渡部 昇一
- メディア: 新書
知的生産のロングセラー知的生活の方法 (講談社現代新書)の3年後に書かれた本で、テーマは「読書が中心にあるような生活論」について。
本書(続編)は現在、残念ながら絶版なので、Amazonで中古を入手しました。
うん、やっぱり本書(続編)も名著でした!
スコット、ヒュームや本多静六などの著名な作家や学者の知的生活がいろいろな視点から分析・紹介されているのがよかったです。
繰り返し読みたい本です。
第2章「知的生活の理想像」と第3章「仕事のしかたとライブラリー」では、個人の蔵書・書斎と大学図書館の重要性が述べられており、そこがとても興味深かったです。
とくになるほど!と思った言葉は、こちら。
「自分自身の書斎・書庫(ライブラリー)を作り上げる」(to build up one's own library)(p.104)
図書館の蔵書構築については考えますが、そういえば自分自身のそれについては深く考えていなかったので。
早くヴィジョンを持つことである。そしてそのヴィジョンから目をはなさないで何年かすれば、絶対量ではたいしたことはなくとも、自分だけの利用価値からいえば、大図書館にもそれほど劣らないものが、自分の周囲に生じはじめるであろう。(p.117)
長期的な視点を持って、こつこつと自分のライブラリーを充実させていきたいと思います。
そして、著者のように資料蓄積の累積効果を体感してみたいです。
図書館関連の話題では、ドイツの大学図書館の接近利用や大学図書館に内から通うという話、公共図書館と個人蔵書、財政難による公共図書館の限界について書いてあり、いずれもおもしろかったです。
また、文章を書く際には、インスピレーションよりも機械的に書くことを推奨されています。
書かずに悩むよりも、とにかく書きはじめることが大切!
第4章「知的独立について」では、経済的な「独立(インデペンデンス)を得る」という考え方がおもしろいと思いました。
ベンジャミン・フランクリンは、「空の袋は直立しえず。 An empty sack cannot stand upright.」という諺を普及させたが、これはもちろん「独立できる資産がなければ、人は卑屈にならざるをえない」という意味である。(p.135)
目次は、下記のとおりです*1。
●日本の知的生活の伝統
生活の中で学ぶ/知的生活の第3期
●知的生活の理想像
蔵書とほほえみ/スポーツ・著作・社交
●仕事のしかたとライブラリー
機械的な書き方/私的ライブラリーへの志
●知的独立について
自立するための人生計画/擬似恒産としての就職
●知的生活と表現
内省的気分/原文復元法
『市役所の小川さん、哲学者になる 転身力』
- 作者:小川 仁志
- メディア: 単行本
京都大学卒業後、伊藤忠商事→フリーター→名古屋市役所&名古屋市立大学大学院博士課程を経て、徳山工業高等専門学校の教員になるまでの過程が詳細に記述されています。
考え方の参考になったところ。
■挫折を乗り越える<小川式>7つの方法(p.49-58)
1.ハードルを下げてみる
2.ライバルの活躍を調べる
3.本屋めぐり
4.自分の成功物語を書く
5.親に感謝する
6.死を想定する
7.星を見る
知的生産の参考になったところ。
■プロの研究者を目指す人の<小川式>11のステップ☆運を呼びこむために(p.185-232)
1.まず両立できる仕事を確保する
2.次に大学院に行く
3.学ぶ内容を吟味する
4.学校を選ぶ
5.論文を発表する
6.学会発表をする
7.できれば賞を狙う
8.教育歴になりうる活動をする
9.公募に応募する
10.自分をプロデュースする
11.「強い気持ち」をもち続ける
とくに社会人大学院の話がおもしろかったです。
ちなみに、公務員が社会人大学院に進学する内容の本は、中野雅至さんが新書で4冊書いています。