2015年9月に読んだ本は、5冊でした。『法令用語の常識 改訂版 (セミナー叢書)』と『知的トレーニングの技術〔完全独習版〕 (ちくま学芸文庫)』は実家の稲刈りの合間に、あぜに座りながら読んでました。
目次:
- 『知的トレーニングの技術〔完全独習版〕 (ちくま学芸文庫)』
- 『法令用語の常識 改訂版 (セミナー叢書)』と『法令解釈の常識 (セミナー叢書)』と『法令作成の常識 (セミナー叢書)』
- 『本の知識―本に関心のあるすべての人へ!』
- 2015年9月に読んだ本一覧
『知的トレーニングの技術〔完全独習版〕 (ちくま学芸文庫)』
- 作者:花村 太郎
- 発売日: 2015/09/09
- メディア: 文庫
読書猿ブログはこの一冊から始まった:『知的トレーニングの技術』復活を知らせ再び強く勧める 読書猿Classic: between / beyond readersで知った本です。絶賛されているとおり、すばらしい内容です。
立志術、ヤル気術、知の空間術、蒐集術、分析術、読書術、執筆術などなど知的生産に役立つ項目が並んでおり、具体的な方法が紹介されています。目次を見るだけでも、どこから読もうか、どこを読み返そうかとわくわくし鼓舞されます。
帯に「あの伝説のテキストがいまよみがえる!」とありましたが、なぜ今まで絶版だったのか不思議です。
自分にとっては、『知的生活の方法 (講談社現代新書)』、『知的生活の方法 続 (講談社現代新書 538)』、『知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ (講談社+α文庫)』に並ぶ知的生産の名著です。
- 知的トレーニングの原則(p.11-19)
- 創造が主、整理は従
- 自分一身から出発しよう、等身大の知的スタイルをつくろう
- 知の全体を獲得すること、そのために自立した知の職人をめざす
- 方法に注目する
- 情報から思想へ
「創造が主、整理は従」については、とくに自分は陥りやすいので要注意です。
- 速読法の目的は、不要な本を早めにとりのけて、ゆっくり読むべき本を発見するのであって、読書術の根本は「遅読」にあるのである(p.13)
社会人になってからとくに読まなくていい本を見極める力の重要性を実感しています。死ぬまでに読める本ってそんなにないもんな。自分の場合だと、社会人になってからのこの3年は、年平均50冊。50冊×50年=2500冊。この2500冊にふさわしい本なのかを見極めなければ!
- 書斎は1個の巨大な百科事典なのだ(p.97)
- 書斎は、自分の知的能力の拡張空間だ(p.98)
- 物的所有は知的所有の第一歩なのだ(p.120)
- 「全部」あつめることが大切なのだ(p.121)
- 全集通読はトレーニングのチャンピオン(p.163)
書斎を1つの書物(百科事典)として捉えるのは、蔵書構築をする上でとても参考になります。なお、『知的生活の方法 続 (講談社現代新書 538)』でも書斎・蔵書についての重要性が述べられています。 nekoniyume.hatenablog.com
- からだを使って読んでしまおう(p.164)
- 書店での「立ち読み」は速読のトレーニングに最適だ(p.165)
とくに、買おうか迷ってるときの立ち読みって、めちゃくちゃ集中します。
- 現在の困難を、現在という瞬間にばかり固執して解決しようとせずに、あとに引き延ばすという柔軟な発想を身につけていることは、大切なことだ(p.184)
これができなくて、悩んだり、身動きが取れなくなってしまうことが多いの要注意だなと思いました。
- 知的生活を一生つづけていくために、無理をしない方法を身につける、という知恵は、いちばん大事なのだ(p.201)
まずは、長続きする方法・スタイルを身につける。
- メモをとることは執筆への第一歩だ(p.201)
- 思考の言葉と文章の言葉とのあいだには断絶がある、ということをよく心得ておくことが大切なのだ(p.237)
- 考えたことを書くというより、書くことによって考えをはっきりさせる、という立場でいくことだ(p.238)
「書くことは考えること、考えることは書くこと」くらいの気持ちでどんどんアウトプットしていきたいと思います。
- 有効な問題設定ができれば、問題は半分解決されたも同然ということだ(p.275)
- あらゆる理論は一時的な仮説の状態にあるのだといえる(p.286)
問題設定は本当に難しいですよね。
目次は、下記のとおりです*1。
イントロダクション - 知的スタート術
準備編 - 知的生産・知的想像に必要な基礎テクニック8章
志を立てる - 立志術
人生を設計する - 青春病克服術
ヤル気を養う - ヤル気術
愉快にやる - 気分管理術
問いかける - 発問・発想トレーニング法
自分を知る - 〔基礎知力〕測定法
友を選ぶ・師を選ぶ - 知的交流術
知的空間をもつ - 知の空間術
実践編 - 読み・考え・書くための技術11章
論文を書く - 知的生産過程のモデル
あつめる - 蒐集術
さがす・しらべる - 探索術
分類する・名づける - 知的パッケージ術
分ける・関係づける - 分析術
読む - 読書術
書く - 執筆術
考える - 思考の空間術
推理する - 知的生産のための思考術
疑う - 科学批判の思考術
直感する - 思想術
さまざまな巨匠たちの思考術・思想術 - 発想法カタログ
文庫版あとがき
その他の参考になるレビュー:
- 世界の動きを「読める」ようになり、人生を「意味づける」為に──『知的トレーニングの技術』 - 基本読書
- 『知的トレーニングの技術』が、「書くことこそが考えることなのだ」を教えてくれ(てい)た - 雁と月の話
- 花村太郎『知的トレーニングの技術〔完全独習版〕』 - Kentaro Kuribayashi's blog
『法令用語の常識 改訂版 (セミナー叢書)』と『法令解釈の常識 (セミナー叢書)』と『法令作成の常識 (セミナー叢書)』
- 作者:林 修三
- 発売日: 1958/11/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 作者:林 修三
- 発売日: 1975/01/01
- メディア: 単行本
- 作者:林 修三
- 発売日: 1964/07/01
- メディア: 単行本
林修三の3部作として有名な本です。ロングセラーなだけあって、とてもわかりやすかったです。古い本なので、とっつきにくいと思って購入してからも敬遠していましたが、そんなことはありませんでした。
法令のみならず、組織内部の規則や公用文を読解・作成する際にも役立つ知識なので、今後も学んだことを意識して使っていきたい思います。
法令用語の常識 改訂版 (セミナー叢書)では、「及び」と「並びに」、「又は」と「若しくは」、「場合」と「とき」と「時」、「その他」と「その他の」などの基本用語が大変わかりやすく説明されています。なかには、「校長」、「学長」、「総長」のような使用するところが限定されるマニアックな用語も取り上げられています。
法令解釈の常識 (セミナー叢書)では、法令解釈の基本的な心構えや法令解釈の方法が学べました。法令=退屈だと思っていましたが、おもしろそうだと思えてきたのがこの本を読んだなにより収穫です。
法令解釈の種類:
- 法令解釈
- 学理的解釈
- 文理解釈(文字解釈)
- 論理解釈
- 拡張解釈
- 縮小解釈
- 変更解釈
- 反対解釈
- 類推解釈
- もちろん解釈
法令間の矛盾抵触を解決するための諸原理(優先順位):
- 法令の所管事項の原理
- 法令の形式的効力の原理
- 後法優越の原理
- 特別法優先の原理
法令作成の常識 (セミナー叢書)では、規則の制定や改廃などの実務に応用できる立法技術ことが学べました。また、「法令立案にあったってもつべき基本的な態度」を忘れないようにしたいと思います。
法令立案にあったってもつべき基本的な態度:
- まずはじめに考えるべきこと
- それが立法問題かどうかということおよびどういう法形式を選択するかの問題
- 法令の内容に関する問題
- 形式上の整備に関する問題
- 法令らしい法令を作ること
- 法形式の選択を誤らないこと
- 実効性のある法令を作ること
- 内容の正しい法令を作ること
- 他の法令との調整を忘れないこと
なお、この本(3部作)は、林雄介の著書 *2 において、法制執務のおすすめの勉強法(推薦本の読書順序)のなかの1冊(3部作)として、おすすめされています。まとめると、おそらくこんな感じになると思います。
法制執務の勉強法(推薦本の読書順序):
- レベル1
- レベル2
- レベル3
- レベル4
- 新訂 ワークブック法制執務(通読はしなくていい。適宜参照する。)
法令に関して、僕は寄り道しながらも基本的にこの順で学習を進めているので、林修三の3部作を読む前に読んだのは、レベル1の2冊です。
というわけで、僕が次に読む本は、レベル3の『最新 法令の読解法 四訂版』です。
『本の知識―本に関心のあるすべての人へ!』
本好きにはたまらない一冊。本の形態、編集過程や出版流通などの本に関する基礎知識が64p.という少ないページにうまくまとめられていました。図が豊富なのもイメージしやすくよかったです。あっという間に読み切ることができました。価格が安いのもいいですね。