猫に夢研究所

自分の備忘録を公開している感じです。国立大学法人で大学図書館職員(図書系職員)として働いています。みなし公務員です。

講演『学びの経験をデザインする! ~キュレーション、リーダーシップ、そしてRIKEJO的マインド~』の聴講メモ

第57回中国四国地区大学図書館研究集会で行われた講演『学びの経験をデザインする! ~キュレーション、リーダーシップ、そしてRIKEJO的マインド~』の聴講メモです。

目次


第57回中国四国地区大学図書館研究集会の概要

第57回中国四国地区大学図書館研究集会の開催について - 中国四国地区大学図書館協議会


講演『学びの経験をデザインする! ~キュレーション、リーダーシップ、そしてRIKEJO的マインド~』

大学時代に美馬先生の著書『「未来の学び」をデザインする―空間・活動・共同体』を読んだことがあったので、今回直接お会いできるのをとても楽しみにしていました。この本は、とても読みやすいのでオススメです。今回の講演のなかでも触れられていました。


聴講メモ

全体のバランスや文脈は考慮せず、講演を聞いたなかで自分が興味を持ったところを中心に列挙しました。

  • 教える≠学ぶ。学習環境のデザイン。
  • 公立はこだて未来大学は、当時30代半ばの数名の研究者が計画した(1996年12月より)。
    • あとで私が検索したところ、http://www.fun.ac.jp/funbox201603/では、下記のように書いてありました。
    • 本学をデザインしたのは数学者の広中平祐(ひろなか・へいすけ)さんとその門下生たちなんですよ

  • 学習共同体としての大学(2000年4月公立はこだて未来大学開学時の理念より)。
    • 学生だけでなく、教員や職員、地域や企業の人々など、大学に関わるすべての人に対して、学びの機会を提供する。
    • "生涯学び続ける存在"である人間を、構成メンバー間の相互作用をもとに、共同体として育てる場となる。
  • 「未来の学び」をデザインする―空間・活動・共同体』は、最近になって売れ始めた。出版時には、アクティブ・ラーニングやラーニング・コモンズはなかった!?
  • 学習環境のデザインとは、目的、対象、要因、学習に至るまでの過程を、物理的環境も含めて創造する行為。実践しながら、振り返り、位置づけ、修正していく活動。
  • キュレーションとは、美術館の職員が、収蔵物を整理して見やすくする行為。情報を集め、作品群を再編集し、新たな視点を提供する。
  • キュレーターの役割は、お互いに学び合う環境をデザインすること、状況に合わせて活動を促すこと、方向性を提示すること。
  • Global Resilient Leadership。不確実な状況下で求められる新しいリーダーの資質。
    • 異文化(国、民族、業種、職位など)を理解しつつ
    • しなやかで、回復力がある
    • 多様性と寛容性
    • 当事者ニーズと社会ニーズの認識、問題提起の力
    • チーム力、巻き込み力
  • RIKEJO的マインド。RIKEJO-ish。
    • R:Respectful お互いを尊重し
    • I:Investigative 知りたがり
    • K:Knowledgeable 知識が豊かで
    • E:Enthusiastic 熱心で
    • J:Joyful 楽しく
    • O:Open 開放的で、公平で、偏見なく、人の意見に耳を傾ける
  • オープンスペース、オープンマインド。スペースをオープンにすると、心もオープンになる。
  • 「できないことをみつけて嘆く」のではなく、「できることをみつけて楽しむ」。制約があるから考える。工夫する。
  • 必要なのは、「それをおもしろい」と感じ、「やってみよう」と行動に移す力。信頼関係と巻き込み力。
  • Mindsetを変える。習性となった考え方、思考態度・傾向を見直す。
  • 児童、生徒、学生だけでなく、教職員、社会人、生活者である大人もアクティブラーナーになる。
  • 講演のなかで紹介された本。


美馬のゆり先生は、広中平祐先生のお弟子さん(門下生)

美馬先生は、広中平祐先生のお弟子さん(門下生)とのことです。私は高校生のとき理系*1で、山口県出身の数学者として広中平祐先生を尊敬していたので、勝手ながら親しみを感じるとともに興奮しました。

ちなみに、『生きること学ぶこと (集英社文庫)』を読むと、広中平祐先生の人柄と学問のおもしろさが伝わってきます。学びと創造(研究?)のヒントが満載です。以前、お会いしたときにこの本にサインしていただきました。

生きること学ぶこと (集英社文庫)

生きること学ぶこと (集英社文庫)

*1:とくに『フェルマーの最終定理 (新潮文庫)』を読んで、数学かぶれのときがありました。