猫に夢研究所

自分の備忘録を公開している感じです。国立大学法人で大学図書館職員(図書系職員)として働いています。みなし公務員です。

簿記3級合格前後に読んだ会計初学者におすすめの本13冊

2016年2月28日の日商簿記検定試験3級に合格しました。そこで、合格前後に読んだ本のなかで、自分と同じような会計初学者におすすめの本を紹介します。

もともと簿記3級をとるつもりはなくて、会計の基礎知識が学びたかっただけなんですが、紹介している本を読んでいるうちに、せっかくなので形にしておこうと思い、簿記3級を受けた次第です。だから、私にとって簿記3級の試験勉強はおまけでした。

そういうわけで、一応、合格前後に分けて紹介していますが、意図的に分けて読んだわけではありません。いずれも基礎的な本ばかりなので、簿記3級を受ける気がなくても読めると思います。自分はもともとそのつもりでした。

大学時代に会計学の授業も受けたことがなく、社会人になってからもがっつりとした会計部署での実務経験もありません。完全に独学です。その点はご注意ください。

目次


簿記3級合格前に読んだおすすめ本の6冊

稲盛和夫実学―経営と会計』

稲盛和夫の実学―経営と会計

稲盛和夫の実学―経営と会計

  • 言わずと知れた名著。
  • 帯には、「会計がわからんで経営ができるか!」とある。
  • 会計の視点から書かれた経営の本。
  • 第1部では、経営のための会計学を実践していくために必要な7つの基本原則が「実践的基本原則」として説明されている。
    • キャッシュベースで経営する【キャッシュベース経営の原則】
    • 一対一の対応を貫く【一対一対応の原則】
    • 筋肉質の経営に徹する【筋肉質経営の原則】
    • 完璧主義を貫く【完璧主義の原則】
    • ダブルチェックによって会社と人を守る【ダブルチェックの原則】
    • 採算の向上を支える【採算向上の原則】
    • 透明な経営を行う【ガラス張り経営の原則】
  • 「ダブルチェックの原則」は会計に限らず重要だと思う。人に罪をつくらせない体制を作ることが大切。
    • 「ダブルチェックの原則」を間違いの発見やその防止のためのテクニックであると考える人もいるかもしれない。しかし、このような厳格なシステムが必要な本当の目的は、人を大切にする職場をつくるためなのである。複数の人間や部署がチェックをし合い確認し合って仕事を進めていく。このような厳しいシステムが存在することによって、社員が罪をつくることを未然に防ぎながら、緊張感のあるきびきびとした職場の雰囲気が醸し出されるのである(p.105-106)


『図解「財務3表のつながり」でわかる会計の基本』

図解「財務3表のつながり」でわかる会計の基本

図解「財務3表のつながり」でわかる会計の基本

  • 作者:國貞 克則
  • 発売日: 2014/08/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

  • 表紙側の帯には、「この1冊で、会計のしくみと経営分析のコツが一気にわかる!」とある。
  • 裏表紙側の帯には、「5つのポイントで会計の基本が効率よく学べる!」とある。そのポイントは下記のとおり。
    • 財務3表の超イロハから解説しているからわかりやすい
    • 決算書の読み方と会計の全体像がスッキリ身につく
    • 財務3表のつながりが1ページの図解で瞬時につかめる
    • 難しそうな経営分析も、この図式化で直感的に理解できる
    • 会計をビジネスの現場で活用するための考え方も解説
  • 図が多く、損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、キャッシュフロー計算書(CS)のつながりを意識しやすかった。
  • 財務諸表をまるっとそのまま捉えることができる感じ。
  • PART1「会計の基本的な仕組みを理解しよう」では、会社が「お金を集めて」「何かに投資し」「利益をあげる」という活動が、財務諸表にどのように表現されるか、どのような特徴があるかがわかる。
  • PART2「「財務3表のつながり」がわかれば会計の全体像が見える」では、財務諸表それぞれのつながり、そして、会社の活動によってお金が動くと、それが財務諸表にどう反映されるのかが図で理解できる。
  • PART3「財務3表で会社の状態を読み解いてみよう」では、具体例として挙げられていたSONYGoogleの比較、Amazonとイオンの比較がおもしろかった。
  • PART4「会計を現場で使うための基本的な考え方を学ぼう」では、管理会計の基礎を知ることができる。「会社を立て直すにはどのような順番で手を打てばいいのか?」(p.155-158)がおもしろかった。
  • 記事内でこの著者の本を複数冊紹介しているが、どれか1冊と言われるとこの本。よくまとまっている。


『2時間で丸わかり 会計の基本を学ぶ』

2時間で丸わかり 会計の基本を学ぶ

2時間で丸わかり 会計の基本を学ぶ

  • 作者:岩谷 誠治
  • 発売日: 2015/06/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


『この1冊ですべてわかる 会計の基本』

会計の基本

会計の基本


『最初に読む会計学入門 (「即戦力」シリーズ)』

最初に読む会計学入門 (「即戦力」シリーズ)

最初に読む会計学入門 (「即戦力」シリーズ)

  • 作者:田中 弘
  • 発売日: 2013/10/10
  • メディア: 単行本

  • カバーには、「本書では、「会計データの作り方」と、「会計データの使い方」を学びますが、会計データの分析をとおして、実際の会社では何が問題となるのか、何が問題の原因なのか、どうやって問題を解決するのか、という問題発見と問題解決の基本的な技法をマスターしてください」とある。
  • CHAPTER 1「会計を知らないと、どんな失敗をするか」とCHAPTER 2「会計を知っていると、何ができるようになるか」からスタートしているのがいい。会計学がどのように役に立っているのか、役立てればいいのかという視点を得ることができる。
  • CHAPTER 14「在庫を管理する技法」がおもしろかった。自分は、自宅の消耗品を意識せずツービン・システム(ダブルビン法)で管理していたみたい。
  • 重要なところが枠線で囲ってある。


『ストーリーでわかる財務3表超入門―お金の流れで会計の仕組みが見えてくる』

  • 帯には、「会計ってそういうことだったのか!」とある。
  • ストーリー仕立て。
  • 会計知識ゼロの主人公が会社を設立し、仕事を進めながら会計の本質と全体像を学んでいく。
  • 取引が財務諸表にどのように反映されるのかがわかる。
  • 損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、キャッシュフロー計算書(CS)のつながりがわかる。
  • あとで紹介する『決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 (朝日新書 44)』をさらに読みやすく、簡単にした感じ。
  • 記事内でこの著者の本を複数冊紹介しているが、1番やさしい本。ただし、経営分析は扱っていない。


簿記3級合格後に読んだおすすめの本7冊

『ビジネス・アカウンティング―財務諸表との格闘のすすめ』

  • 帯には、「会計から経営を読み解く、健全な「ドンブリ勘定」を目指せ!」とある。
  • カバーには、「「財務諸表を情報ツールとして、自分の仕事に役立てたい」と考えているのだったら、何はさておき財務諸表と格闘することだ」とある。
  • この本は、著者が教鞭をとっている慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應ビジネススクール)における「会計管理」のコースの一部を簡潔にダイジェストしたもの。
  • 財務諸表を読むおもしろさを感じることができる。
  • 第1章「会計リテラシー」がとても熱い。
  • 経営管理者に必要な情報リテラシーの3言語(p.4)
    • 自然言語
    • 機械言語
    • 会計言語=世界で最も普及した言語
  • 実は会計は、「企業の経営活動を統一的かつ包括的に捉える写像ツール」でもある。しかも包括性という性質をもつツールとしては、この世で“唯一”のツールである。会計のほかに、経営活動を包括的・統一的に捉える総合性能をもった手段は存在しない(p.10)

  • 現在は新版が出版されている。


『キャリアアップのための経理・財務のセオリー ―プロの技術とロジックを学ぶ― Theory of corporate accounting and finance (ビジネスセオリー)』

  • 帯には、「驚くほどにミスがなくなる。会社の数字の出し方がわかる」「経理エキスパートへの最短ルートをナビゲート」とある。
  • この本は、中堅の経理担当者の悩みを解決し、業務スキルのレベルアップを図るために必要な知識をまとめたもの。
  • 会計部署がどのような業務を行っているのかイメージできる。
  • 各伝票のチェックポイントやミスのチェック方法が勉強になった。
  • ただし、正誤表がはさまっていたものの、誤植が多すぎるのが少し残念。


『財務マネジメントの基本と原則』

財務マネジメントの基本と原則

財務マネジメントの基本と原則

  • 表紙には、「これ1冊で「使えるファイナンス」の真髄が身に付く」とある。
  • 本書は「素人にもよくわかる財務」といった類の本ではありません。本書は「意思決定」に関する本です。あなたが勤務または自ら経営している組織がどのようなものであれ、最終的に求められるのは意思決定です。しかも、意思決定はマネジメント的に適切であるだけでなく、財務的にも正しいものでなくてはなりません。しかし、財務を全体的に理解していなければ、財務的に正しい意思決定を行うことはできません。(p.2)

  • この本は、ビジネスを財務的にマネジメントするとはどういうことかをわかりやすい言葉で説明している。
  • マネージャー(中間管理職?)の視点から、会計を経営にどう活かせばいいのかという基礎知識を得ることができる。
  • とくに予算(財務計画や差異分析)についてのところがおもしろかった。
  • ポイントがわかりやすく明示されている。
  • 巻末に索引がある。


『経営分析―監査役のための「わが社の健康診断」 (監査役のための「早わかり」シリーズ)』

  • たくさんの指標について説明してある。
  • 経営分析によって何を知ることができるか(p.15)
    • 会社は儲かっているかどうか読むことができる
    • 売上げの質を読むことができる
    • 隣の会社と比べて、どっちが儲かっているかを知ることができる
    • 会社は、どういう活動で儲かっているのかを読むことができる
    • 会社は健全に成長しているかどうかを判定できる
    • 会社の資本は有効に使われているかを判断できる
    • 会社は借金を返す力があるかどうかがわかる
    • 会社はどのくらい社会に貢献しているかが読める
    • 会社は資金繰りがうまくいっているかどうかがわかる
  • 基本的な経営分析を学ぶことができた。とくに下記のところがおもしろかった。
    • 片対数グラフの活用
    • 売上高の予測(スキャッター・グラフ法、最小2乗法、移動平均法)
    • 損益分岐点による分析
    • 資金繰りの方法(カレンダー資金繰表)
    • キャッシュフロー計算書の読み方
    • 成長性比較グラフ(ファクター:売上高、総資本、経常利益、従業員数、粗付加価値)


『決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 (朝日新書 44)』


『財務3表一体分析法 「経営」がわかる決算書の読み方 (朝日新書)』

  • 帯には、「理解の次は分析」「オリジナル図解で会社の状況を一発理解」とある。
  • 8業種25企業の決算書の事例を通して、財務分析を学ぶことができる。
  • 貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)の縮尺図で比較する方法がわかりやすかった。
  • 分析指標の基準値を機械的に当てはめても意味がないということがわかる。
  • 現在は新版が出版されている。
    財務3表図解分析法 (朝日新書)

    財務3表図解分析法 (朝日新書)

    • 作者:國貞克則
    • 発売日: 2016/10/13
    • メディア: 新書


『財務3表実践活用法 会計でビジネスの全体像をつかむ (朝日新書)』

  • 帯には、「自分の会社の事業に即、使える!」「売上と利益より、投資とリターンが大切」「「ドラッカー経営学」で会計を斬るコラムつき」とある。
  • この本は、下記の3つの要素にしたがって、企業会計の活用方法について説明している。
    • 会計を通して、ビジネス全体を俯瞰しコントロールする
    • 利益と現金の違いを認識する
    • 世の中は「投資」と「リターン」で回っている


簿記3級の試験対策(参考)

日商簿記3級 合格これ1冊』

日商簿記3級 合格これ1冊

日商簿記3級 合格これ1冊


『10日で合格るぞ!日商簿記3級 光速マスターテキスト』


日商簿記3級過去問題集 2015年11月/2016年2月対策 (とおる簿記シリーズ)』


電卓『カシオ スタンダード電卓 時間・税計算 デスクタイプ 12桁 DF-120GT-N』

  • 簿記試験おすすめ電卓 - ゆとりずむを参考に選んだ。
  • でもシャープよりカシオがいいなと思ってAmazonで探した。
  • 上記のブログ記事のポイントに加えて、「0」と「C」の位置を見て、使いやすそうなものを選んだ。